「丁寧に図々しく、謙虚に厚かましく」
これは私自身の営業スタイルの基本にしている言葉です。
結論から言うと、「丁寧に関係性をつくり、聞きたいことは遠慮なく聞き、伝えたいことは遠慮せずに伝える」ということです。
別の言い方をすれば、「礼儀正しさを前面に出しながら、中身は自分の思いのままに営業する」ということでもあります。
なぜ「図々しさ」には、順番が必要なのか
ここで注意しなければいけないのは、「図々しい」「厚かましい」と受け取られかねない言動は、相手との関係性がまだ薄い段階では、嫌われたり、時には怒らせてしまったりするリスクを伴う、ということです。
だからこそ、図々しく聞きたいことを聞く前に、戦略的に関係性を積み上げておく必要があります。
順番を間違えると、同じ質問でも「失礼な営業」と受け取られてしまいます。
逆に、順番さえ守れば、初対面でも驚くほど踏み込んだ話ができるようになります。

短期間で「丁寧・謙虚」を伝える4つの行動
関係性を短期間で積み上げるために、私は次の4つを意識しています。
① 事前に調べたプロフィールを、アイスブレイクの質問に使う
事前にお客様のプロフィールを入念に調べ、その内容を主体にアイスブレイクの質問をする。
これによって、「理解してから理解される」という状態を、意識的につくります。
事前に調べた内容を、確認するように質問することで、「私はあなたのことを理解しようとしています」という姿勢が、自然と相手に伝わります。
② 耳と目と心と体で、傾聴する
お客様の意見や質問への回答には、耳だけでなく、目と心と体、全身を使って傾聴します。
相槌の速さやタイミング、視線の向け方、姿勢。言葉以外の部分にも、「あなたの話をちゃんと聞いています」というメッセージが乗ります。
③ 相槌・共感・オウム返しで、返報性の法則を仕掛ける
相槌を打ち、共感を示し、相手の言葉をオウム返しする。これを繰り返すことで、「返報性の法則」を仕掛けておきます。
人は、自分に何かを与えてくれた相手に対して、お返しをしたくなるという心理を持っています。
丁寧に聞く姿勢そのものが、相手にとっての「与えられたもの」になり、後で「今度はこちらの話も聞こう」という気持ちにつながっていきます。
④ 聞きたいことを聞く前に、気遣いの一言を枕詞にする
ここまで丁寧に関係性を積み上げた上で、いよいよ本題の質問に入ります。ただし、ここでもワンクッション置くことが大切です。
- 「唐突なご質問になりますが、2、3お聞きしてもよろしいでしょうか」
- 「ちょっと変なことを聞いてもよろしいでしょうか」
- 「怒らずに聞いていただきたいことがあるのですが、よろしいでしょうか」
こういった言葉を枕詞として使い、相手への気遣いを示しながら、同意の「YES」を先にもらう。そのうえで、聞きたいことをはっきりと遠慮なく聞き、伝えたいことを遠慮なく伝えます。
「丁寧」と「図々しさ」は矛盾しない
一見、「丁寧・謙虚」と「図々しい・厚かましい」は、正反対の性質のように見えます。
でも実際には、この2つは順番でつながっています。
丁寧さを先に積み上げるからこそ、後半の図々しさが成立する。
順番を守らずに図々しさだけを出すと、それはただの無礼な営業になってしまいます。
今週やってみてほしいこと
商談の前半戦で、丁寧に関係性を積み上げることを意識してみてください。
- 事前リサーチした内容を、アイスブレイクの質問に変換する
- 相手の話に、相槌・共感・オウム返しを意識的に増やす
- 本題の質問の前に、気遣いの一言を枕詞として挟む
ここまでできたら、後半は遠慮せず、自分がやりたい営業をしてみましょう。
まとめ
「丁寧に図々しく、謙虚に厚かましく」は、矛盾した言葉ではなく、順番を示した言葉です。
丁寧さを先に積み上げ、信頼という土台を作ってから、初めて図々しさが力を発揮します。
この順番さえ守れば、初対面の商談でも、驚くほど踏み込んだ話ができるようになります。