決裁権のない担当者に提案書を出すと、よくこう言われます。
「それでは、社内で検討させていただきます」
この言葉を言われたあと、どう対応するかによって、決定率には大きな差が出ます。
関係性を構築し、深いヒアリングをさせてもらい、良いプレゼンテーションができたとしても、最後の詰めがすべてを左右するのです。
都心異動で、急に売れなくなった元部下の話
私の元部下に、中小企業の社長に直接商談をしているときは、よく売れていた営業がいました。
その彼が都心地区に異動になり、決裁権のない担当者相手の商談が中心になった途端、急に売れなくなりました。
異動当初、彼が売れなくなった理由は、商品知識でも、トークスキルでもありませんでした。「検討します」と言われたあとの行動にあったのです。

よくある「詰め」の質問、その限界
皆さんは、「検討します」と言われたあと、どう対応しているでしょうか。
- 「検討のポイントはどんなところになりそうですか?」
- 「提案の中身に、問題や違和感がありますか?」
- 「今回の提案を進めていただく上で、ネックになる要素がありそうですか?」
これらは、一般的な「詰め」として、決して悪くはありません。ただ、担当者からは、建前的な答えしか返ってこないことも多いんです。
「もし仮に」で、本音を引き出す
そこで、時には、怖がらずにこう聞いてみてください。
「もし仮に◯◯様が社長でしたら、この場でご決裁いただけそうな内容になっていますか?」
この質問から、否定的な言葉が返ってくることもあります。
そこで終わらせず、続けてこう聞きます。
「たしかにそうですね。では、もし仮に〇〇〇となれば、どうですか?(大丈夫そうですか?)」
この一連の質問によって、担当者の本音を掴むことができます。
さらに、担当者自身が口にした言葉であるため、心理学で言う「コミットメントと一貫性」の効果も期待できます。
一度自分の言葉で「それなら大丈夫」と言った以上、担当者は、その言葉に沿った行動を取ろうとするようになります。
出てきた課題は、その場で「代替え案」に変える
「検討します」と言われたら、「もし仮に」でどんどん質問し、決裁者が断りそうな要素や、担当者が感じているネガティブな要素を、その場で把握します。そして、把握したその場で、即座に改善提案を加えることが重要です。
もちろん、到底受け入れられないことを言われたり、粗利がなくなるほどの値段交渉をされたりすることもあるでしょう。
そんなときは、こう伝えてみてください。
「それだけは、それだけは勘弁していただけないでしょうか」
片目をつぶりながら、本気でお願いする。そのうえで、「代替え案」や「落としどころ」を、その場で担当者と一緒に煮詰めていくんです。
これができるようになると、決定率は劇的に上がります。
今日から使えるフレーズ
- 「もし仮に、◯◯様が決裁者でしたら、この場でご決裁いただけそうですか?」
- 「たしかにそうですね。では、もし仮に〇〇となれば、いかがですか?」
- 「それだけは、それだけは勘弁していただけないでしょうか」
この3つを持っておくだけで、「検討します」で終わっていた商談の先に、一歩踏み込めるようになります。
まとめ
「検討します」は、商談の終わりではなく、本当の勝負が始まる合図です。
一般的な詰めの質問で満足せず、「もし仮に」で仮定の質問を重ねることで、担当者の本音と、決裁者の懸念を、その場で引き出すことができます。
そして、そこで出てきた課題は、持ち帰らず、その場で代替え案として煮詰めてしまう。
この一連の流れが、決定率を大きく左右します。
なお、こうして仮クローズまで進めた際、「相見積もりが必要です」と言われるケースもあると思います。
その対処法については、また別の機会に詳しくお伝えします。