月末になると、つい口ずさんでしまう言葉があります。
「ボツってからが勝負」
読んでいた案件がボツになり、必死の思いで巻き返した経験は、営業なら誰しも一度はあるのではないでしょうか。
私が初めてこれを経験したのは、営業2年目の8月でした。
新人時代は結構売れていたこともあり、2年目に入って少し自信過剰になっていた頃の話です。
「これは絶対決まる」と報告していた案件
FAXを1台増設したいという引き合いが入りました。
自社が導入しているコピー機が古く、使用量も多かったため、耐久性を上げたFAX機能付きの複合機を提案しました。
ご使用のコピー機は導入から7〜8年が経過し、修理回数も増えてきている。保守料金も下がる。FAX1台は確実に必要になる。しかも商談相手は社長の息子で、役職は専務。
条件は揃っていました。支店長には「これは絶対決まります」とまで報告していました。
月末、専務から告げられた「ボツ」
月末になっても、発注の連絡が来ません。白紙の契約書を持って突撃訪問し、専務と立ち話になりました。
「当面、こないだの話はなかったことに」
軽く、ボツを言い渡されました。
それでも、「座ってもう少しその話を聞かせていただけないですか」と食い下がり、煮え切らない話が延々と続きました。
社長への、イチかバチかの直談判
そのとき、商談コーナーの横を、社長っぽい風格の人が歩いてきました。
確信はありませんでしたが、思わず立ち上がり、「大塚商会の平井と申します」とイチかバチかで挨拶しました。
「ああ、大塚さんね」という感じで、軽く会釈が返ってきました。そこで、鬼気迫る勢いで申し出ます。
「少しだけ、お話を聞いていただけないでしょうか」
挨拶をしたこともない社長に、直接お願いしました。
すると、社長に直接話したところ、すんなりOK。
私の心境は「なんやってん、あの専務の断りは」でした。
突撃訪問でボツを告げられたところから、初めての逆転決定を経験した瞬間でした。
不採用でも「違和感」があるなら、諦めない
この一件から、大きな教訓を得ました。
不採用を言い渡されても、自分の中で違和感があるなら、最後まで諦めない。
条件が揃っていて、確実に決まると思っていた案件が、担当者レベルで断られる。この違和感の正体は、多くの場合、その担当者が、本当の意思決定者ではなかったということです。
その後も、何度か不採用からの逆転を経験しました。そこで共通していたのは、たった1つのことです。
ボツになった直後に、すぐ次のアクションを起こしている、ということです。
提案の内容を変更する。値段を下げる。反対している人に直接会いに行く。方法はさまざまですが、共通しているのは「すぐ動く」ことでした。
今日から意識したいこと
- 「ボツ」を告げられたら、その場で引き下がらず、理由をもう一歩深く聞く
- 断ってきた相手が、本当の意思決定者かどうかを確認する
- 違和感が残る失注は、値段・提案内容・キーマンのいずれかを変えて、その日のうちに次の一手を考える
ボツは、終わりの合図ではなく、次の一手を試す合図です。ここで動きを止めてしまうと、逆転のチャンスも同時に消えてしまいます。
まとめ
条件が揃っているはずなのに断られた。そのときに残る違和感は、多くの場合、正しい違和感です。
ボツを告げられた瞬間ではなく、その後どう動くかで、案件の結末は決まります。すぐに次のアクションを起こせるかどうか。これが、逆転できる営業と、そこで終わってしまう営業の分かれ目です。
弊社では、若手営業向けにこうした失注後の切り返し方を実践形式で身につける研修を、管理職向けにはチーム全体での失注案件の見直し・再アプローチの仕組みづくりを、それぞれ研修としてお渡ししています。
「一度断られると、そこで案件を終わらせてしまう若手が多い」
心当たりがあれば、問い合わせより連絡してください。現状をうかがった上で、どこから手を入れると一番早く変わるか、一緒に整理します。