結論を確認する日。契約書類を準備して、意気込んで伺うと、こう言われる。
「稟議をあげるのに、相見積もりが必要なんです」 「社長に話したら、他社も検討しなさいと言われまして」
営業なら、誰でも経験があるはずです。ここからが、営業の本領発揮です。
まあまあの営業と、一流の営業の違い
まあまあの営業は、競合を受け入れたうえで、負けない形に持ち込みます。
「わかりました。もし他社が安い場合は、メーカーにエビデンスをもって再交渉します。そのときは、再交渉の機会だけはお約束いただけますか」
悪くない対応です。ただ、一流の営業は、その一歩手前で動きます。
一流の営業は、「競合をとらないでください」と言います。 それでもダメなら、「今だけはやめてください」です。
ただし、いきなり言えば、ただのリスクです。手順があります。

第1弾:「競合をとらないでください」
会話はこう進めます。
営業「少しお聞きしてもいいですか。今回のご提案内容は、いかがでしたか。違和感を感じておられる部分は、ありませんか」
お客様「いえ、特にないです。当社にもメリットのある提案だと思いますよ」営業「もう1つ聞いてもいいですか。今回が初めてのお取引なので、アフターサポートに不安はありませんか」
お客様「大きな会社なので、サポートの不安もありません」
営業「それであれば、競合をとらずに済む方法を、一緒に考えていただけないでしょうか。提案にメリットがあり、サポートの不安がなくても、価格を比べたいというのは、私も同じです。ただ、私どもにとっては、競合を呼ばれることで1%でも可能性が下がることが、ここまでの最大のリスクなんです。競合した場合の他社の価格は把握していますので、社内とメーカーに競合申請をします。それでご協力いただけないでしょうか」
必ず守る3つのこと
相手を怒らせ、信用を失うリスクがあるため、次の3点は外せません。
- 提案への違和感を確認する(メリットを感じてもらえているか)
- 導入後のサポートに不安がないことを確認する
- 「売る側なのに、こんなことを言ってすみません」という表情で伝える(「本当にすみません」と、何度も言いながら)
第2弾:「今はやめてください」
それでも、競合をとられることはあります。そのときは、時間をもらうことに切り替えます。
営業「わかりました。では、競合先に声をかけるタイミングだけ、待っていただけませんか。まず、メーカーに競合申請をして、最安値の承認を取りたいんです。以前、競合他社メーカーからのクレームで、最安値が通らなかったことがありまして」
待ってもらっている間にやること
- 競合と言われた瞬間から、相手より接点の数を上回る
- 相手にできない提案を、考え直す
- 相手の上長(社長)に会う努力をする
②と③は状況次第ですが、①は努力と意識でできます。そして、十分にこちらに寄せてから、最後の価格を出します。
使うときの注意
- 理由は、本当のものだけ:
競合申請や最安値の承認など、実際に必要な手続きを話す。時間稼ぎのための作り話は、見抜かれます - 断られても、無理に押さない:
第1弾で了承されなければ、第2弾に移る - 関係を壊さない:
すみませんという姿勢を、最後まで崩さない
今週やってみてほしいこと
次に競合の話が出たら、まず、第1弾の2つの確認だけやってみてください。
提案への違和感と、サポートの不安です。この2つが「ない」と言ってもらえたら、第1弾の前提は整います。
最後に
台詞を知っているだけでは、商談の緊張の中で言葉は出てきません。
実際に声に出して、相手役を立てて練習することで、初めて自然に使えるようになります。
弊社の研修では、管理職向けに、競合対策の進め方を部下に指導する型を、若手向けに、ロールプレイで「言いにくいこと」を伝える研修を用意しています。ご興味があれば、お気軽にご連絡ください。