毎年、年の始まりなどに「新たな目標」を設定する方は多いと思います。
達成する人もいれば、途中でふと振り返って「無理だな」と諦めてしまう人もいる。あるいは、自分で設定した目標が何だったのか、曖昧にしか覚えていない人もいるかもしれません。
目標達成には、いろいろな手段や要素があります。ただ、「今年こそは」と思う方は、まず誰にでもできることから始めてみませんか。
「目標を紙に書いて、1日1回必ず見る」
ここからスタートするのも、悪くないと思います。

よく聞く「ハーバード大学の目標設定調査」、実は根拠がない
「目標を紙に書く」効果を語るとき、よく引用されるデータがあります。
1979年にハーバード大学で行われたとされる調査で、「目標を紙に書いていた学生3%の年収が、10年後、残り97%の合計の10倍になっていた」というものです。
この数字、私自身も長年信じていましたが、調べてみると、この調査が実際に行われたという記録は見つかっていません。
ハーバード大学関係者や複数の調査ジャーナリストが検証していますが、出典となる論文や公式記録は確認できず、自己啓発の世界で長年語り継がれてきた”都市伝説”だという指摘が有力です。
事実と異なる可能性が高いデータを、そのまま紹介するわけにはいきません。
そこで、実際に検証されている研究をご紹介します。
実在する研究:紙に書いた目標は、達成率が上がる
心理学者ゲイル・マシューズ博士(ドミニカン大学)が2007年に行った研究があります。
267名の社会人を対象に、目標の立て方によって5つのグループに分け、その後の目標達成度を比較しました。
ただ目標を頭の中で考えるだけのグループと、目標を紙に書き出したグループ、さらに行動計画まで書き、それを友人と共有し、進捗を毎週報告したグループなど、段階を分けて検証しています。
結果、目標を紙に書いたグループは、書かなかったグループに比べて、目標の達成度が有意に高くなりました。
「紙に書く」という行為そのものに、実際の効果があることが、この研究によって裏付けられています。
なぜ、紙に書いて毎日見るだけで行動が変わるのか
紙に書いた目標を、1日1回確認する。これを続けると、カラーバス効果と呼ばれる現象が働き始めます。
カラーバス効果とは、ある1つのことを意識することで、それに関連する情報が、無意識のうちに自分の手元へたくさん集まるようになる現象のことです。
たとえば「赤い車が欲しいな」と思った瞬間から、街中の赤い車がやたらと目につくようになる。あの感覚と同じです。目標を毎日見て意識に上げておくことで、普段なら見過ごしていたはずの、目標達成につながるヒントやチャンスに、自然と気づけるようになります。
今日からできること
- 今、頭の中にある目標を、1枚の紙に書き出す
- その紙を、毎日必ず目にする場所(手帳、デスク、スマホの待ち受けなど)に置く
- 1日1回、数秒でいいので、書いた目標に目を通す習慣をつける
「今年こそは」と思っている方は、まずこの3つから始めてみてください。
まとめ
「目標を紙に書く」ことだけで、すべての結果が決まるわけではありません。ただ、実在する研究によって、その効果は裏付けられています。
紙に書き、毎日見る。この小さな習慣が、カラーバス効果を通じて、目標達成に必要な情報や行動へのアンテナを、自然と高めてくれます。
弊社では、若手営業向けに個人の目標設定と日々の振り返りを習慣化する研修を、管理職向けにはチーム全体の目標を可視化・共有する仕組みづくりを、それぞれ研修としてお渡ししています。
「目標は立てているはずなのに、いつの間にか忘れられている」
そんな状態にならないように、今日から意識してみてください。
参考文献 ・Matthews, G. (2007). “The Impact of Commitment, Accountability, and Written Goals on Goal Achievement.” Dominican University of California.